管理人ブログ詩を読む人のなんとなく俳句です。テーマは余白を読む。俳句とは余白を読む文芸です。いつからか現代詩では顧みられなくなった「余白を読む」、「行間を読む」、というテーマに沿ったり、沿わなかったりしながら綴っています。お暇な時にどうぞ。(北野和博)
- 目をとぢて秋の夜汽車はすれちがふ 中村汀女
- 炎天下おなじ家から人が出る 永末恵子
- 水匂う姉を残して茂りかな 永末恵子
- 全員に傘ゆきわたる孤島かな 永末恵子
- ここに居るはずもないのに冬の夜 臼井昭子
- 一枚の小皿の上の秋のかぜ 津沢マサ子
- 一本の道を微笑の金魚売 平畑静塔
- 遠き日のアイスコーヒー二つかな 二階堂英子
- 怒らぬから青野でしめる友の首 島津亮
- 炎天下亡き友の母歩み来る 大串章
- 少年の夏野にビラが降っている 秋尾敏
- まさる君は炎天でしか映らない 川名つぎお
- 辞書のなかをレモンころがる暮らしかな 京武久美(2019.10.13)
- 犬の目に涙台風接近中 藤田素子(2019.9.14)
- 夫焼きし皿を選びぬ初秋刀魚 新井八重子(2019.9.13)
- 義歯ぴたり秋刀魚の味の一段と 小川玉泉(2019.9.12)
- 秋風やわすれてならぬ名をわすれ 久保田万太郎(2019.9.11)
- 切れさうな釧路の秋刀魚届きけり 大村かし子(2019.8.10)
- びしょぬれのKが還ってきた月夜 眞鍋呉夫(2019.9.9)
- 露人ワシコフ叫びて石榴打ち落す 西東三鬼(2019.9.8)
- 遅咲きのものあれこれと庭残暑 鷹羽狩行(2119.9.7)
- 大声で呼ばれてをりし秋の虹 高倉恵美子(2019.9.6)
- 秋燕や駅よりすでに海の砂 神尾季羊(2019.9.5)
- 柘榴みて髪にするどきピンをさす 野沢節子(2019.9.4)
- わが肩を濡らし花野を濡らす雨 藤崎久を(2019.9.3)
- 花野の家蚊の昂ぶりにたじろぎぬ 金子兜太(2019.9.2)
- 休暇明けやきの空に風流れ 岡本眸(2019.9.1)
- ふりいでし雨の水輪よ休暇果つ 木下夕爾(2019.8.31)
- 朝顔や百たび訪はば母死なむ 永田耕衣(2019.8.30)
- 秋天のわれがぐん ゝ ぐん ゝ と 高浜虚子(2019.8.29)
- まぐわひのしづかなるあめ居とりまく 鈴木しづ子(2019.8.28)
- 体内にきみが血流る正座に耐ふ 鈴木しづ子 (2019.8.27)
- 死ぬわれに妻の枕が並べらる 林田紀音夫(2019.8.26)
- よその子にかこまれて秋何話そ 高田風人子(2019.8.25)
- 鰯雲日かげは水の音迅く 飯田龍太(2019.8.24)
- 葉をふらす 葉をふらすとき 木の不安 富沢赤黄男(2019.8.23)
- 階段を濡らして昼が来てゐたり 攝津幸彦(2019.8.22)
- ねぎらわれをり秋蟬の声の中 中村汀女(2019.8.21)
- 校庭に郵便ポストカンナ燃ゆ 山田閏子 (2019.6.20)
- 星月夜時差刻々と生まれつつ 原田伸夫(2019.8.19)
- 昏いねと青鬼灯に水供ふ 木曽岳風子(2019.8.18)
- てのひらの硬貨のにほひ氷菓子 後藤志づ(2019.8.17)
- たべのこすパセリのあをき祭かな 木下夕爾(2019.8.16)
- 終戦の記憶の底を紙魚走る 水野恒彦(2019.8.15)
- 盆唄の夜風の中の男ごゑ 森澄雄(2019.8.14)
- メロン切る事を決っしぬ今の今 中原冴女(2019.8.13)
- 七○二頁に蜘蛛の子の死骸 杉浦圭祐(2019.8.12)
- 誰も弾かぬピアノの上の夏帽子 山口彩子(2019.8.11)
- 鐘の音や箸持つのみの夏料理 中村草田男(2019.8.10)
- 向日葵のうなじ灼かるる坂の道 田代史子(2019.8.9)
- 花火見しひととその後会わざりき 北野平八(2019.8.8)
- 炎天やじっと地蔵のにらむもの 寺山修司(2019.8.7)
- 口開けて虹見る煙突工の友よ 寺山修司(2019.8.6)
- 越し方のプラスマイナス夏星座 横山迫子(2019.8.5)
- 慟哭の背後夕焼溜まり出す 木山杏理(2019.8.4)
- 何もせぬ何も出来ぬ日髪洗ふ 宮井知英(2019.8.3)
- はつ蝉に忌中の泉汲みにけり 飯田蛇笏(2019.8.2)
- 穀象の群を天より見るごとく 西東三鬼(2019.8.1)
- 見おぼえの山百合けふは風雨かな 星野立子(2019.7.31)
- ドアあいて出水の家に人見ゆる 江川三味(2019.7.30)
- 一点の偽りもなく青田あり 山口誓子(2019.7.29)
- 中年や遠くみのれる夜の桃 西東三鬼(2019.7.28)
- まむし酒とは異なるものを庫裡に見し 長井貝泡(2019.7.27)
- 夏座敷へと水音の運ばるる 小澤克己(2019.7.26)
- 見知らぬ子ぐっすり眠る夏座敷 川島ひとみ(2019.7.25)
- 蛇見かけざりしは地震の頃よりと 稻畑汀子(2019.7.24)
- 騎馬の青年帯電して夕空を負う 林田紀音夫 (2019.7.23)
- 蓋あけし如く極暑の来たりけり 星野立子(2019.7.22)
- 羅やいつかわが手に指輪なし 高橋淡路女(2019.7.21)
- 父母の氷菓の棒が手にのこる 飯島晴子(2019.7.20)
- 円涼し長方形も亦涼し 高野素十(2019.7.19)
- 想像の水母がどうしても溶ける 池田澄子(2019.7.18)
- 背伸びして生きし日もあり夏薊 宮崎カツ子(2019.7.17)
- たまさかは濃き味を恋ふ雲の峰 正木浩一(2019.7.16)
- すれちがうベクトル海の日の教室 (藤田敦子2019.7.15)
- 休暇はや白朝顔に雨斜め 中村汀女(2019.7.14)
- 髪洗ふいま宙返りする途中 恩田侑布子(2019.7.13)
- 皺のばす朝顔の種つつむ紙 桂信子(2019.7.12)
- 詰められぬ眩しき距離を夏帽子 林昭太郎(2019.7.11)
- 夏帽子人それぞれの翼かな 安田優歌(2019.7.10)
- 子はなほも麻酔の中に梅雨夕焼 當麻幸子(2019.7.9)
- 氷菓尽きぬこの人に何も与へ得ざりき 中島斌雄(2019.7.8)
- 七夕の美しく席外さるる 中原幸子(2019.7.7)
- 立葵あなたに駅はありますか 山本敏倖(2019.7.6)
- 夏落葉たまさかなれば訝しむ 岡本眸(2019.7.5)
- 蛇を見し午後を過去とし夜の帯 岡本眸(2019.7.4)
- アイロンの裏側梅雨の貌映す 山本馬句(2019.7.3)
- 夏野行くどこが中心とも知らず 杉浦圭祐(2019.7.2)
- 二日目の汗をたたみて旅鞄 稲畑汀子(2019.7.1)
- 路地裏を夜汽車と思ふ金魚かな 摂津幸彦(2019.6.30)
- 愁ひつつ岡にのぼれば花いばら 蕪村 (2019.6.29)
- 吊皮にごとりとうごく梅雨の街 横山白虹(2019.6.28)
- 何もなき壁を照らして梅雨の燭 桂信子(2019.6.27)
- 白粥のつめたき百合の昼下り 摂津よしこ(2019.6.26)
- がさがさと暮らすのもよし茄子の花 飯島晴子(2019.6.25)
- 引越しの荷が南天の花こぼす 加藤水虹(2019.6.24)
- 昼顔や水平線に触れて咲く 北澤瑞史 (2019.6.23)
- ソーダ水君の言葉の浮力かな 祐森彌香 (2019.6.22)
- 汗ぬぐうそのてのひらに父の顔 近藤瑠璃(2019.6.21)
- ハンカチを畳み重ねて子の遠し 浜口高子(2019.6.20)
- わたくしに汚れちまったハンカチよ 林朋子(2019.6.19)
- 忘れたいからハンカチを洗ひをり 後藤立夫(2019.6.18)
- ハンカチの汚るるやうに百合了る 真保喜代子(2019.6.17)
- ハンカチを返せず駅に来てしまふ 岡本久也(2019.6.16)
- 取分けて大皿のこる夏料理 中谷葉留(2019.6.15)
- なりたての母に大きな夏帽子 仙田洋子 (2019.6.14)
- わが夏帽どこまで転べども故郷 寺山修司 (2019.6.13)
- 夏井戸や故郷の少女は海知らず 寺山修司(2019.6.12)
- 大揚羽教師ひとりのときは優し 寺山修司 (2019.6.11)
- 走り梅雨二度画き直す細き眉 岡敏恵(2019.6.10)
- 面談の一対の椅子走り梅雨 中嶋陽子 (2019.6.9)
- 走り梅雨原子爆弾拾つてる 吉弘恭子(2019.6.8)
- 印泥の天地返しや走り梅雨 林裕子(2019.6.7)
- 鮎鮓や土間の暗さに目の馴れて 摂津よしこ (2019.6.6)
- 滝音の棒となる日の飴作り 摂津よしこ (2019.6.5)
- 滝の上に水現れて落ちにけり 後藤夜半(2019.6.4)
- 橋渡る人を遠目に更衣 服部幸(2019.6.3)
- みなもとの水の香ふかき更衣 岡本眸(2019.6.2)
- 扇風機大き翼をやすめたり 山口誓子(2019.6.1)
- 悪女かも知れず苺の紅つぶす 三好潤子(2019.5.31)
- 風寒し切長の目も薄暑にて 飯田龍太(2019.5.30)
- 蛇苺抜くなと頭より夫の声 田中藤穂(2019.5.29)
- 知り合ったばかりの頃の蛇苺 篠田純子(2019.5.28)
- ただ過ぎし道にいろなく蛇苺 森谷彰(2019.5.27)
- 谺して山ほととぎすほしいまま 杉田久女(2019.5.26)
- 背の高き子が麦秋の中を行く 西川五郎(2019.5.25)
- 麦秋の水郷棹を休めつつ 堀井浮堂(2019.5.24)
- 打ちそこねた釘が首を曲げた 尾崎放哉(2019.5.23)
- 女医しろし卓上に置く血のダリア 盛田一荘(2019.5.22)
- かきつばた紫紺落着く雨のあと 朝倉富次(2019.5.21)
- よそめなる窓の別れや薫衣香(くのえこう) 富安風生(2019.5.20)
- 海にもてゆきしハンカチ海の匂ひ 嶋杏林子(2019.5.19)
- 抱き移す浴衣の中に母ありぬ 宇都宮沢(2019.5.18)
- また寝そびれて明け方のほととぎす 藤井美晴(2019.5.17)
- ほととぎす一声とほす森の路 岡田愛子(2019.5.16)
- 五月なかばの鉛の空母しんと浮く 林田紀音夫(2019.5.15)
- 山吹の散るまであるや上り簗 原月舟(2019.5.14)
- 花種蒔く母よ小遣くれし手つき 林昌華(2019.5.13)
- 母の日や屋根に見知らぬ草ぽつり 中原幸子(2019.5.12)
- 高き燕深き廂に少女冷ゆ 飯田龍太(2019.5.11)
- 駈け来る子発止とうけて青嵐 岡本眸(2019.5.10)
- 蝌蚪の上キューンキューンと戦闘機 西東三鬼(2019.5.9)
- 草摘んで戻れば又もわが家なる 星野立子(2019.5.8)
- したがひて野にも出で来し草も摘む 中村汀女(2019.5.7)
- 新緑の風をゆたかに昼座敷 竪ヤエ子(2019.5.6)
- おとうとは少年のまま鯉のぼり 鳴海清美(2019.5.5)
- めしたべにおりるわが足音 尾崎放哉(2019.5.4)
- 井戸の暗さに我が顔を見出す 尾崎放哉(2019.5.3)
- 鐘ついて去る鐘の余音の中 尾崎放哉(2019.5.2)
- 突かで置く紙風船の夜の影 行方克巳(2019.5.1)
- 子ら帰り園のぶらんこ風が乗る 堀井英子(2019.4.30)
- 沐浴のわが一刻も春の宵 栗津松彩子(2019.4.29)
- また同じ小径に逸れし春の夢 邑沙綺(2019.4.28)
- 雨晴れてもとのところに春の山 田村木国(2019.4.27)
- 夫託す救急車待つおぼろ月 鈴木竹(2019.4.26)
- 水音で充たす一日さくら散る 桂信子(2019.4.25)
- 閉まりたる戸の奥に音夕桜 桂信子(2019.4.24)
- 鮨くうて皿の残れる春の暮 桂信子(2019.4.23)
- ごはんつぶよく噛んでゐて桜咲く 桂信子(2019.4.22)
- 春の海一燈つよく昏れにけり 桂信子(2019.4.21)
- ひとりなれば佇つこと多し春水に 桂信子(2019.4.20)
- 亡き妻の靴を磨けり風光る 伊藤白潮(2019.4.19)
- 七重の塔の跡なし木瓜の花 大坪景章(2019.4.18)
- 住む人の替りてゐたり更紗木瓜 小松鈴子(2019.4.17)
- 遠足にゆけぬ日の子のゆでたまご 三神あすか(2019.4.16)
- 破るるに音を持たざるしやぼん玉 塩川雄三(2019.4.15)
- 近所の子あげて二階のしやぼん玉 小林一行(2019.4.14)
- 花曇バス降りし人駅へ行き 宮津昭彦(2019.4.13)
- 春の闇プリマドンナに口紅を 尾上有紀子(2019.4.12)
- 草の影石に鋭く入学す 飯島晴子(2019.4.11)
- 行人のうしろうしろと花の冷 笠松久子(2019.4.10)
- 傘よせて話す一事や花の冷 植松安子(2019.4.9)
- 花冷の少しありつつ雨上る 稲畑汀子(2019.4.8)
- 花冷えの月の峠に過去がある 森津三郎(2019.4.7)
- 花冷の椅子ひとつ足す通夜なかば 田所節子(2019.4.6)
- 春嵐埠頭突端より追えず 鬼頭文子(2019.4.5)
- 借り傘に花の雨いま街の雨 北野平八(2019.4.4)
- 花冷えや悲しい色の夢をみる わたなべじゅんこ(2019.4.3)
- 笑い了えし体が桜ふぶきの中 池田澄子(2019.4.2)
- 赤錆びのぶらんこに父待たせをり 吉岡一三(2019.4.1)
- 黒板の日直消して卒業す 山田正子(2019.3.31)
- ぶらんこを降り鉄棒に身を曲げる 加藤白狼子(2019.3.30)
- 引越してゆくぶらんこを乗り捨てて 望月周(2019.3.29)
- 花は雨宿し雨滴は花宿す 山田弘子(2019.3.28)
- 校塔に鳩多き日や卒業す 中村草田男(2019.3.27)
- たんぽぽやまだ濡れてゐる水彩画 大村美知子(2019.3.26)
- 忘られぬ悲しさのあり春祭 大平保子(2019.3.25)
- しゃぼん玉吹けぬ児の居て海遠し 保坂加津夫(2019.3.24)
- つぎの泡浮かぶ気配の春の水 北野平八(2019.3.23)
- 七年の回り道経て春炬燵 年森恭子(2019.3.22)
- 涕(な)けば済むものか春星鋭(と)くひとつ 鈴木しづ子(2019.3.21)
- 海の風来て三月の乱れ髪 桂信子(2019.3.20)
- 春光や田に働きて田に憩ふ 佐野まさる(2019.3.19)
- 春光や遺愛の書架にうす挨 安田とし子(2019.3.18)
- 弟を待つ北窓を開きけり 斧田綾子(2019.3.17)
- 風船に詰めて子の息母の息 北野平八(2019.3.16)
- くちびるに春の時雨の一雫 池田かよ(2019.3.15)
- 沈丁の香に躓ける思ひかな 加藤あけみ(2019.3.14)
- 蛇穴を出てジーンズの丈に魂消る 西村葉子(2019.3.13)
- 春風や闘志いだきて丘に立つ 高浜虚子(2019.3.12)
- 春は 白い卵と 白い卵の影と 富沢赤黄男(2019.3.11)
- たんぽぽも地上のものとなる離陸 鷹羽狩行(2019.3.10)
- 春泥や墓のみとなり一家族 折橋綾子(2019.3.9)
- ポスターの美女吹かれゐる春の風 吉年虹二(2019.3.8)
- 春泥へ鉄階下る非常口 村上沙央(2019.3.7)
- 雨昏き啓蟄の穴不眠のこり 丸山海道(2019.3.6)
- どの坂のどの軒からも雪解かな 朝妻力(2019.3.5)
- 雪解川減法先を急ぐかな 大橋敦子(2019.3.4)
- 雛まつる壁裏昼の物音す 桂信子(2019.3.3)
- 流し雛おく水勢を怖れつつ 水野節子(2019.3.2)
- 春の日やポストのペンキ地まで塗る 山口誓子(2019.3.1)
- アダ名無き教師の机二月尽 塩見恵介(2019.2.28)
- 水温む雲の中なる日の歩み 岡本眸(2019.2.27)
- 見えてゐる人みなうごき水温む 八田木枯(2019.2.26)
- 水温む母の漬菜の飴いろに 石本百合子(2019.2.25)
- メモ帳に記した春が見当たらぬ 津沢マサ子(2019.2.24)
- 春は血の汚るるごとし水に彳つ 石川桂郎(2019.2.23)
- 冬虹のいま身に叶ふ淡さかな 飯島晴子(2019.2.22)
- 寂しいは寂しいですと春霰 飯島晴子(2019.2.21)
- 早梅の白さを見たり雨の中 阿部ひろし(2019.2.20)
- 梅の花禁煙二年過ぎにけり 菅谷たけし(2019.2.19)
- 東風吹かばホテトチップス歩み来る 小枝恵美子(2019.2.18)
- 一輪の色をほどきて梅匂ふ 稲畑汀子(2019.2.17)
- 迷路はや劇薬まわる梅林 汎馨子(2019.2.16)
- 末黒野の集めてゐたる喉ぼとけ 小形さとる(2019.2.15)
- エレベーター余寒の底のまだ遠し 福永尚子(2019.2.14)
- 蕗のたう苦しや死後の父の恩 村田冨美子(2019.2.13)
- 雪靴のとおり過ぎたる予約席 北野平八(2019.2.12)
- 寒月光しばらく姥の灰神楽 摂津よしこ(2019.2.11)
- 末黒野に学園建つといふ噂 井上雅晴(2019.2.10)
- 豆腐屋の灯に傘ひらくささめ雪 北野平八(2019.2.9)
- 好物も寡黙に食みて受驗の子 小阪喜美子(2019.2.8)
- 冬深む寺建つる音やすみなく 飯島晴子(2019.2.7)
- すらひにふれるとすればくすりゆび 荒木甫(2019.2.6)
- うすらひや遅れて知りし知人の訃 岡本眸(2019.2.5)
- 大根を輪切りにするも谺して 摂津よしこ(2019.2.4)
- 終バスの一人降しぬ鴨宿に 摂津よしこ(2019.2.3)
- 真つすぐな怒りのままに滝凍る あさなが捷(2019.2.2)
- 木枯らしの橋を渡れば他国かな 尾崎一雄(2019.2.1)
- 徘徊の妻の融けゆく冬満月 河内桜人(2019.1.31)
- 山茶花や籠りたき日は紅を濃く 上田貴美子(2019.1.30)
- 掛けてある鏡の暗し冬座敷 倉田紘文(2019.1.29)
- 白菜の白さ目に入る朝の膳 山本達人(2019.1.28)
- 訛ある車内放送雪催ひ 佐藤京子(2019.1.27)
- 人形のできあがる日の冬の川 飯島晴子(2019.1.26)
- スケートに興じたる日々遥かにす 稲畑汀子(2019.1.25)
- 一面の冬の夕焼子がゐない 上田貴美子(2019.1.24)
- 銅版画に指紋残して冬に去りき 寺山修司(2019.1.23)
- 少年の川にまつはる冬雲雀 飯島晴子(2019.1.22)
- 大寒や庭木移せば土に穴 鷹羽狩行(2019.1.21)
- 万両やつかぬ事とて低く問ふ 舩越美喜(2019.1.20)
- むらくもの動くと見れば寒の鯉 鷹羽狩行(2019.1.19)
- スケジュールをはみ出してみる雪女 夏秋明子(2019.1.18)
- この暗き海鳴りの町日記買ふ 黒田杏子(2019.1.17)
- 裏道を通る口笛日脚伸ぶ 太田黒みさ江(2019.1.16)
- 山茶花の夢の上ゆく朝の櫛 摂津よしこ(2019.1.15)
- 日月のこまかくうごく冬の芹 飯島晴子(2019.1.14)
- 埋め戻す土余りたる冬旱 能村研三(2019.1.13)
- 階段が無くて海鼠の日暮かな 橋閒石(2019.1.12)
- 薔薇抱きて故人通ひぬ雪の橋 稲見光(2019.1.11)
- おでん煮て又出掛けるを問はれけり 稲畑汀子(2019.1.10)
- 寒柝や真直ぐになほす掛時計 白岩三郎(2019.1.9)
- 一月の畳ひかりて鯉衰ふ 飯島晴子(2019.1.8)
- 人日の窓打つ風に目覚めけり 志水千代子(2019.1.7)
- 墨痕のかすれに力お書初 鷹羽狩行(2019.1.6)
- 字のみだれ賀状を書くを止めにけり (加藤志峰2019.1.5)
- 賀状書くレンヂのタイム六分に 坂本フジ(2019.1.4)
- みづいろのやがてくれなゐ初み空 鷹羽狩行(2019.1.3)
- 乾杯や悴みし指高く上げ 稲畑汀子(2019.1.2)
- 一輪の霜の薔薇より年明くる 水原秋櫻子(2019.1.1)
- 甕に耳二つあり大晦日 竹内悦子(2018.12.31)
- 夜廻や列車の音の沈む先 野口伸二(2018.12.30)
- 数へ日や床屋の椅子にまどろみて 久世孝雄(2018.12.29)
- 消しゴムで消せぬ記憶や日記果つ 加藤はま子(2018.12.28)
- 土堤を外れ枯野の犬となりゆけり 山口誓子(2018.12.27)
- 外套のふかきに触れし清め塩 川村蟬太郎(2018.12.26)
- 聖樹の灯心斎橋の灯の中に 石原八束(2018.12.25)
- ごうごうと風呂沸く降誕祭前夜 石川桂郎(2018.12.24)
- 冬帽子かぶるマネキン顔持たず 松本あきら(2018.12.23)
- 夜更けて亡夫のセーター羽織けり 浅井千鶴子(2018.12.22)
- 襟巻きの無駄な長さを野に翔たす 石田よし宏(2018.12.21)
- 星空を来し外套を受けとりぬ 蘭定かず子(2018.12.20)
- 亡きものはなし冬の星鎖をなせど 飯田龍太(2018.12.19)
- 母を消す火事の中なる鏡台に 寺山修司(2018.12.18)
- 冬のコーヒー一匙分の忘却や 寺山修司(2018.12.17)
- ジャズさむく捨てし吸殻地で湿る 寺山修司(2018.12.16)
- 雪の野のふたりの人のつひにあふ 山口青邨(2018.12.15)
- 日向より園児消えれば寒き町 飯田龍太(2018.12.14)
- ラグビーの頬傷ほてる海見ては 寺山修司(2018.12.13)
- ラガーらのそのかちうたのみじかけれ 横山白虹(2018.12.12)
- 霜柱立つ音明日のため眠る 西東三鬼(2018.12.11)
- 冬木立余白に消ゆる靴の音 片山煕子(2018.12.10)
- 冬木立鞄に深く電話鳴り 生田恵美子(2018.12.9)
- 生き急ぐべしマフラーを翻し 立岩利夫(2018.12.8)
- ポケットに残る半券冬木立 篠藤千佳子(2018.12.7)
- 人探す視界をポインセチアかな 内田美紗(2018.12.6)
- 息をせぬ犬の毛を梳く霜の朝 岡田満壽美(2018.12.5)
- いづこに身置くともひとり冬木立 根岸善雄(2018.12.4)
- 青空も夜空も流れ行く冬木 湖東紀子(2018.12.3)
- 山茶花や廃校にまだ遊具あり 川下明子(2018.12.2)
- めつぶれる瞼や風邪のタイピスト 山口誓子(2918.12.1)
- 花八つ手母を語れば雨上る 上田貴美子(2018.11.30)
- ベンチにて何読む人か散る紅葉 渋谷ひろ子(2018.11.29)
- 山茶花を掃きて鎮まる父の庭 高橋道子(2918,11,28)
- ポーズとる少女に落葉時雨かな 赤池英津子(2018.11.27)
- コスモスの風の中より大男 落合絹代(2018.11.26)
- コスモスや海より深き子の眠り 小倉正穂(2018.11.25)
- コスモスを野に在るやうに揺らしけり 窪田粧子(2018.11.24)
- カステラの木箱の香り冬に入る 中山静枝(2018.11.23)
- 東京へ戻るひとあり菊に噎せ 田原陽子(2018.11.22)
- コスモスに紙飛行機の不時着す 新井佐知子(2018.11.21)
- コスモスの原つぱ何処かに落し穴 栗原公子(2018.11.20)
- 夕紅葉遺影と語ることふえて 宮野照子(2018.11.19)
- 聖護院大根の穴雨が降る 杉浦典子(2018.11.18)
- コスモスのつくり笑いが風になる 山田緑光(2018.11.17)
- 終バスの一人降しぬ鴨宿に 摂津よしこ(2018.11.16)
- むかご飯端の一人に日が差して 摂津よしこ(2018.11.15)
- いつせいに弁当ひらく枯木山 摂津よしこ(2018.11.14)
- 実柘榴や列車が着けば旅人に 摂津よしこ(2018.11.13)
- 冬の月船の霧笛の上に出る 後藤立夫(2018.11.12)
- 竹馬を作れる日向すぐに失せ 山尾玉藻(2018.11.11)
- 霧、夜ごときて落葉松を枯らすかな 成瀬櫻桃子(2018.11.10)
- 威し銃山国の空新しく 細見綾子(2018.11.9)
- 妻あらずとおもふ木犀にほひけり 森澄雄(2018.11.8)
- 柚子買ひしのみ二人子を連れたれど 石田波郷(2018.11.7)
- 出会ひとは秋灯一つ共にして 木内憲子(2018.11.6)
- すがれゐし菊より傾ぎゆける雨 稲畑汀子(2018.11.5)
- 人住みて霧に灯ともす線路下 岡本眸(2018.11.4)
- 薄れゆく書翰のインク秋深し 河野扶美(2018.11.3)
- ただよへる暮色にまぎれ吾亦紅 熊岡俊子(2018.11.2)
- 反古焚いて十一月の香と思ふ 鷹羽狩行(2018.11.1)
- 掌にゆつくり乗りし鹿の息 飯塚ゑ子(2018.10.31)
- 山住みも旧りしと茸談義かな 熊谷利子(2018.10.30)
- 仏壇の閉めある四角紅葉冷 山田美恵子(2018.10.29)
- 色鳥の来てをり父が飯こぼす 田畑保英(2018.10.28)
- 火を蔵す山へ真つ先秋暮るる 能村研三(2018.10.27)
- 敗荷や夕日が黒き水を刺す 鷲谷七菜子(2018.10.26)
- 晴れし日の胡桃の落つる音と知る 中村汀女(2018.10.25)
- 初時雨形見の傘をそつと差し 藤井久仁子(2018.10.24)
- 十三夜路地に残れる旧字体 菊川俊朗(2018.10.23)
- 観音に通ふ水音松手入 錯木恭子(2018.10.22)
- 秋風やひとりの暇のうしろ手に 岡本眸(2018.10.21)
- 踏み込めば踏んでしまひし赤のまま 稲畑汀子(2018.10.20)
- まづ月を見よと遅れて来し人に 安原葉(2018.10.19)
- ふと指のすすきの傷と氣づくまで 芝尚子(2018.10.18)
- 破蓮ちよつと口紅ひきなほす 永嶋みね子(2018.10.17)
- そぞろ寒舫ひの船の軋む音 庵原敏典(2018.10.16)
- 駅の灯の路地にもとどきそぞろ寒 藤井昌治(2018.10.15)
- 倒れ木の跨げば触れてそぞろ寒 岡本眸(2018.10.14)
- 秋の雨探し当てたる古書抱いて 徳丸峻二(2018.10.13)
- 月光や砂の落ちきる砂時計 今井春生(2018.10.12)
- 秋風や何もでて来ぬ穴があり 本多俊子(2018.10.11)
- 林檎一つ劇中劇のテーブルに 安居正浩(2018.10.10)
- 実柘榴に触れてしまひし蝶の羽 常田創(2018.10.9)
- 秋時雨あなたの腕は港です 長浜聰子(2018.10.8)
- 秋の日の美しすぎる訃音かな 山田弘子(2018.10.7)
- 木犀や水たまりにも出来不出来 岡本眸(2018.10.6)
- やがて火となる刈芦のひとつかみ 近藤喜子(2018.10.5)
- つづれさせ街灯の列とほくまで 藤井美晴(2018.10.4)
- 歩くことなき歩を揃へ稲架の馬 田中美幸(2018.10.3)
- 月光や砂の落ちきる砂時計 今井春生(2018.10.2)
- 渇きたる子宮ふきぬく秋の風 片山クケ子(2018.10.1)
- 露の貨車病める軍馬を下ろし発つ 皆吉爽雨(2918.9.30)
- 父死後は開かずの書庫や秋の声 能村研三(2018.9.28)
- 荒畑にとどまる夕日名残茄子 小田悦子(2018.9.28)
- うたせ湯に豊年の顔集ひ来る 城台洋子(2018.9.27)
- 肌寒や針に残りし絹の糸 太田佳代子(2018.9.26)
- 落鮎の腹の小石を噛み当てぬ 浅川正(2018.9.25)
- 閉園の油臭のメリーゴーラウンド 三橋敏雄(2018.9.24)
- 母の衣をいたはり畳む小望月 環順子(2018.9.23)
- 秋夕焼遠忌の膳を囲みたる 阪本哲弘(2018.9.22)
- 本当にいい山なのに鹿撃たれ 丸山佳子(2018.9.21)
- 平らかに母と歩まむ萩の風 斉藤裕子(2018.9.20)
- 鶏頭花囲りに咲かせ友一人 林田加杜子(2018.9.19)
- さびしさは草樹の露のたまるほど 盛良孝(2018.9.18)
- 秋風やわが身のうちのみをつくし 八田木枯(2018.9.17)
- 終の地と決めて歩けば天高し 滝澤圭子(2018.9.16)
- 秋雨の音なき音に目覚めけり 廣島啓子(2018.9.15)
- コスモスや放った石が落ちてこぬ 池田澄子(2018.9.14)
- 蟋蟀やひとりの酒は店の奥 小島輝和(2018.9.13)
- 穴まどひ万事遺漏の無きやうに 土井田晩聖(2018.9.12)
- 折りたたむ風も秋なる日傘かな 岡本眸(2018.9.11)
- 風の日は風吹きすさぶ秋刀魚の値 石田波郷(2018.9.10)
- いちまいの小皿の上の秋のかぜ 津沢マサ子(2018.9.9)
- 長き夜の指紋の渦の美しき 小枝恵美子(2018.9.8)
- まだ母の円周にゐて鳳仙花 奥田筆子(2018.9.7)
- 鳳仙花爆ぜて母屋の昼深し 木下節子(2018.9.6)
- 秋水に落とし視軸を失へり 上田貴美子(2018.9.5)
- さんま二尾買ふ夕空に星ひとつ 松本三千夫(2018.9.4)
- 指ふるる葡萄の皿の上でかな 林裕子(2018.9.3)
- 道化師の銀河にひらく掌 上田貴美子(2018.9.2)
- 日盛りの防犯カメラ前過ぎる 吉田成子(2018.9.1)
- 風鈴を指で弾きて休み果つ 葛西茂美(2018.8.31)
- ひぐらしのいつしか風となりにけり 三浦晴子(2018.8.30)
- 花柄を着てひぐらしの声の中 吉田島江(2018.8.29)
- 天の川禽獣の夢ちらかりて 飯島晴子(2018.8.28)
- 透明になるまで冷えて滝の前 上田貴美子(2018.8.27)
- 白墨の手を洗ひをる野分かな 中村草田男(2018.8.26)
- 捨てられし鉢に朝顔ひそと咲く 舛田初惠(2018.8.25)
- 訪ふ家は線香花火の路地の奥 谷田部栄(2018.8.24)
- こだわりの釦失くして夏終る 戸邊ますみ(2018.8.23)
- 天文台のようにメロンが置いてある 大橋一青(2018.8.22)
- 人形の恋に涙す夏の果て 岡田万壽美(2018.8.21)
- しろがねの刃のためらはぬメロンかな 日野草城(2018.8.20)
- 白桃や遠き燈下に濤あがり 岡本眸(2018.8.19)
- 無花果を捥ぐときに行く家の裏 住来米(2018.8.18)
- かの蛇の長さ示すに腕足らぬ 池田澄子(2018.8.17)
- 空蝉のなかは運河の街であり 守谷茂泰(2018.8.16)
- 米粒を流さず洗ふ終戦日 鈴水浩子(2018.8.15)
- 白蓮のうしろの紅蓮くづれけり 山尾玉藻(2018.8.14)
- 大丸とホテルを繋ぐ蝉時雨 山田弘子(2018.8.13)
- うしろより鏡に入る黒揚羽 摂津よしこ(2018.8.12)
- 夏の河赤き鉄鎖のはし浸る 山口誓子(2018.8.11)
- すぐそばに汀ありけり髪洗ふ 竹内悦子(2018.8.10)
- 愛されずして沖遠く泳ぐなり 藤田湘子(2018.8.9)
- 父を怖れて太平洋を泳ぎおり 摂津よしこ(2018.8.8)
- (穴掘りのひとりは穴に大西日 摂津よしこ2018.8.7)
- 青臭しトマトのわき芽つみし指 竹内弘子(2018.8.6)
- 夕焼の茶箪笥を父覗きけり 山尾玉藻(2018.8.5)
- あした着る衣裳おかるる夏座敷 西畑敦子(2018.8.4)
- 急坂は片陰も無し海はるか いしだゆか(2018.8.3)
- 緑陰やそれは深爪する昏さ 片岡秀樹(2018.8.2)
- 凌霄の日向が暗し病みあがり 高橋さえ子(2018.8.1)
- 聖女より魔女が好きなり天道虫 柴田久子(2018.7.31)
- 山の色釣り上げし鮎に動くかな 原石鼎(2018.7.30)
- 雲の峰病むひとのため白湯沸かす 山本三樹夫(2018.7.29)
- 夏帽をとれば乾いた砂がある 三宅やよい(2018.7.28)
- 落し穴から星見えている昼寝覚 村山和子(2018.7.27)
- 手花火のこぼす火の色水の色 後藤夜半(2018.7.26)
- 月見草夕べは文字のない詩集 穴澤光江(2018.7.25)
- ぱらぱらと席埋まりゆく夏期講座 吉田成子(2018.7.24)
- 茄子貰ふ一人だからと一人分 上田亜矢(2018.7.23)
- 親離れためらふ沙羅の花の雨 吉田克美(2018.7.22)
- 躁の茂り鬱の繁りや昼深し 奥村富久子(2018.7.21)
- 茎太のグラジオラスや癒え確か 田所節子(2018.7.20)
- 昨日見し蛇の草むらにも蛍 河野扶美(2018.7.19)
- ぎりぎりまで青蝉さがす男女かな 飯島晴子(2018/7/18)
- 大根と下ろし金来る端居かな 沖増修治(2018/7/17)
- 水に浮く蛾が生きていて西日さす 桂信子(2018/7/16)
- 記憶にも風景のないなめくじり 松宮梗子(2018/7/15)
- 夜の辻のにほひてどこかプールあり 野村登四郎(2018/7/14)
- 金亀子擲つ闇の深さかな 高浜虚子(2018/7/13)
- 百合抱へアーシーさんは赤子見に 近藤きくえ(2018/7/12)
- 抱き上げる子は万緑の重さかな 野田田美子(2018/7/11)
- 人の児を抱かされていて遠花火 田中實子(2018/7/10)
- 倒れ込む干草は海揺れやまず 浜田順子(2018/7/9)
- 夏館燈を吸う水の流れゐる 室積徂春(2018/7/8)
- 病少年病少女の字星祭る 右城暮石(2018/7/7)
- 空瓶の立ちて流るる梅雨出水 加美明美(2018/7/6)
- 表札の一字かくせる守宮かな 塩路五郎(2018/7/5)
- 朝顔の張りつめている時間かな 木村小夜子(2018/7/4)
- イターは消え塾の灯は煌々と 大島寛治(2018/7/3)
- 麻服にひと日の疲れありけり 松本和子(2018/7/2)
- ジグソーの何か欠けたる昼寝覚め 井上紘(2018/7/1)
- 男より掬い始めぬ夜光蟲 平畑静塔(2018/6/30)
- 蚊帳へくる故郷の町の薄あかり 中村草田男(2018/6/29)
- その中にひそと夕顔買ふ女 落合絹代(2018/6/28)
- 白昼の川のうすさよ枇杷熟れて 岡本眸(2018/6/27)
- 噴水の背丈を決める会議かな 鳥居真里子(2018/6/26)
- こまごまと梅雨の鞄を出でしもの 森賀まり(2018/6/25)
- 丁寧語の二人が残りさくらんぼ 伊藤多恵子(2018/6/24)
- 青田原母を探すに青すぎる 橋本純子(2018/6/23)
- 甘酒を吹けば甘酒くぼみけり 丑久保勲(2018/6/22)
- 灯を消して月下美人と別れけり 松崎鉄之介(2018/6/21)
- 家系図は奥へ奥へと青すすき 三宅やよい(2018/6/20)
- 薔薇切ると待たされてゐる入り日どき 朝妻力(2018/6/19)
- 誰もみな胸に母あり夕螢 白井友梨(2018/6/18)
- 父の日の箸の手応へ胡麻豆腐 白岩三郎(2018/6/17)
- もどる事なき籐椅子の凹みかな 小川洋子(2018/6/16)
- 父の声今も雨中のかたつむり 大井雅人(2018/6/15)
- 犯人の目星つきたり生ビール 成澤桂助(2018/6/14)
- ヨットのみぬけ出る朝の船溜り 貞弘衛(2018/6/13)
- じゃんけんで負けて螢に生れたの 池田澄子(2018/6/12)
- 母の字の我が名の茶箱更衣 篠田純子(2018/6/11)
- 諦めの悪き男がいちご食ふ 秋千晴(2018/6/10)
- ワイン注ぐ音の届きしパセリかな 飯塚ゑ子(2018/6/9)
- 冷し馬馬首ともすれば陸に向く 山口誓子(2018/6/8)
- ひとことの残りし脳裏夏大根 西村滋子(2018/6/7)
- パン焼機不意に音立つ梅雨の朝 山戸暁子(2018/6/6)
- ハンカチに怺へし言葉畳みけり 江木紀子(2018/6/5)
- 狩行かと問はれサングラスをはづす 鷹羽狩行(2018/6/4)
- ベランダに仙人掌咲かせ不登校 山戸暁子(2018/6/3)
- 紫陽花の醸せる暗さよりの雨 桂信子(2018/6/2)
- 蛍に水吹いて唇さみしくす 鈴木真砂女(2018/6/1)
- 青嵐神社があったので拝む 池田澄子(2018/5/31)
- 茅花ぬくひとり夕べの日にそまり 鈴木正子(2018/5/30)
- 萍の余白に雨の水輪かな 稲畑汀子(2018/5/29)