メモ帳に記した春が見当たらぬ 津沢マサ子

 

 

心象、イメージを捉えた抽象俳句、前衛俳句と言われるものの中には難解なものも多いが、この句はけっして難解では無い。言葉に頼らず、具体的なイメージを書いているからである。写生句と同じようにイメージして、それを楽しめばよい。「春」をそのまま季節の春と捉えるか、別の意味で読むか、読み手の想像は拡がってゆく (句集『空の季節』1992年)(K・K)