橋渡る人を遠目に更衣 服部幸

 

 

橋を渡るのは家人でしょうか。それとも知らない人でしょうか。どちらとも読めますが、家人だと理で句が完結してしまうので、私は知らない人と読んだ方がいいと思います。せっせと衣更えをしながらも、少々退屈気味に部屋の窓から景色も見ていたんですね。衣更えとはそういうものです。別に作業に集中する必要はありませんから。橋渡る人に目を付けたところがいいですね。(『朝』1999年9月号)(K.K.)