葉をふらす 葉をふらすとき 木の不安 富沢赤黄男

木は葉をふらす事を不安がっているのではない。不安なときに葉を降らせているのだ。つまり、葉をふらすことは、木の感情表現だと。もちろん、作者の心の中に不安があるから、そう見えるのだ。「葉をふらす」と木を最初から貴人化することで、「木の不安」という表現が違和感なく読者に受け入れられてる。(『昭和俳句作品年表戦後篇』東京堂出版)(北野和博)