すぐそばに汀ありけり髪洗ふ 竹内悦子

 

 

主人公の髪が汚れていた訳ではない。髪を洗いたくなるような澄みとおった汀がそこにあったのだ。現実の風景だろうか。もしかしたら、作者はいつか見た映画のシーンの中をさまよっているのかも知れない。 (『槐』1998年7月号)(K.K.)