一面の冬の夕焼子がゐない 上田貴美子

 

 

冬の夕焼けは夏ほど赤くはないが、透明で美しい。でも、美しさの中にどこか不安や怖さを感じるのは、その後に来る寒暮の予感からだろうか。掲句から、そんな冬夕焼けの凄みが伝わってくる。(句集『暦還り』角川書店)(K.K)