白墨の手を洗ひをる野分かな 中村草田男

 

 

教職にあった作者自身の体験だろう。授業を終えて手を洗っている、という日常が描かれているだけだが、指先の水のひんやりとした感触、窓の外の風の音などが、読者にも体感として伝わってくる。(『現代俳句歳時記』ハルキ文庫)(K.K.)