百合抱へアーシーさんは赤子見に  近藤きくえ

 

アーシーさんは、花を持って出産のお祝いに来てくれたのでしょうか。いえいえそう読むと、この句は報告になってしまう。ここは、アーシーさん「が」ではなく「は」とした点に注目。花を抱えたアーシーさんは赤子を見に行ってしまった、と解釈しましょう。そうすると作品に不思議な広がりが出てきます。「赤子見に」の後を「来た」と読むか、「行った」と読むか、詩を読むとは空白を読むことです。(『槐』2002年9月号) 〈K.K.〉