犬の目に涙台風接近中 藤田素子

掲句は「犬の目に涙」の部分をどう読むかが難しい句です。ここを犬が台風の気配を怖がって泣いている、と解釈すると理に落ちて面白くありません。犬も時折少量の涙を流しますが、云うまでもなく、悲しいからではなく、眼の保護の為です。愛犬家にとっては日常的に目にする光景です。犬の涙という作者にとっての「日常」と、台風接近という「非日常」の無関係の物の対比に、こ面白さあると感じました。(『火星』)2012年9月号(北野和博)