わが肩を濡らし花野を濡らす雨 藤崎久を

雨は遠くから近づいてくるので、理屈の上では先に花野が濡れるのだが、我が身が濡れて、雨と気づいたのだろう。見渡すと花野はもう雨の中。特別な事は書かれていないが、言葉の立ち姿の美しい句。(『ホトトギス』)1999年5月号(北野和博)