愛されずして沖遠く泳ぐなり 藤田湘子

 

 

失恋の句との解釈が一般的であるが、そう読むと、いささか体育会系青春ドラマのようである。友達のいない淋しい少年(少女)と読むのが、私にはしっくりくる。きっと名句は読者の心象風景や生い立ちを投影するのだ。(『現代俳句歳時記』ハルキ文庫)(K.K.)