荒畑にとどまる夕日名残茄子 小田悦子

 

 

もう収穫を終えてしまった畑。誰も顧みることはありません。でもよく見ると小さな茄が枯れかけた枝に残っています。採り残されたのか、収穫後に実ったのか、いずれにしてもこのまま枯れてゆくでしょう。情景がくっきりと浮かぶ秀句。作者の観察眼に拍手です。「とどまる」のは夕日ですが、「茄子」にもかかるように読者は感じます。これが文法では説明できない言葉の力です。(『春耕』2001年12 月号)(K.K.)