破るるに音を持たざるしやぼん玉 塩川雄三

 

 

詩は発見とよく言われる。しかし、誰も気づかなかった事を発見して詩に書いても、読者にはその事実が伝えられるだけで、詩的感動は生まれない。かと云ってみんなが認識している事を書いても、当たり前の事として読者は通り過ぎてしまう。詩における発見とは、みんなが知っているけれども認識していない事を発見する事である。という訳で、詩における発見の良い例が掲句です。何度か読み返しているうちに、句意とは裏腹に、しゃぼん玉の破裂する音が聞こえてきそうになる詩の不思議。 (『築港』2004年6月号)(北野和博.)