木枯らしの橋を渡れば他国かな 尾崎一雄

 

 

地味ではあるが、朴とつで外連味のない句なので取り上げた。木枯らしの季語が良くあっている。「橋を渡れば」の後は、俳人なら「甲斐路かな」、とか「木曽路かな」とか、情緒的地名を入れるかもしれないが、そんな小細工を弄さずに「他国かな」としたところも、衒(てら)いが無くていい。「他国かな」としたことで、旅の孤独や不安が現れている。さすがに散文の鍛錬を積んだ人だ。(『図説日本大歳時記』講談社)(K・K)