表札の一字かくせる守宮かな 塩路五郎

 

そんな場所に都合よく守宮がいるものか、と疑問に思う前に光景が目に浮かぶ。恐らくは作者が本当に見た風景ではないだろう。想像で書いても、読者の目に浮かぶ風景があるのだ。それを作り出せるのは詩人の資質だろう。(『璦』2008年9月号)(K.K.)