めしたべにおりるわが足音 尾崎放哉

 

 

晩飯だろう。あたりはもう暗くなってきたから自分の立てる足音に感覚が集中するのだ。足音は自分の存在の証であるが、いささかこころもとない証である。人影のない坂を下って。待っているのはひとりの食卓。詩は孤独の産物である。(『尾崎放哉全句集』ちくま文庫)(K.K.)