吊皮にごとりとうごく梅雨の街 横山白虹

 

 

電車の窓から見る街の風景は美しい。それがバスだと、そうは感じない。電車とバスの少しの視点の高さの差が、街を美しく見せるのだ。さて、ここからが私の妄想。掲句の視点人物は、仕事帰りのサラリーマンです。(現実の作者は医師であるが)。吊革につかまって、疲れてぼんやりと車窓を眺めていた。その時、ごとりと電車が揺れて我に返った時、雨に濡れる灰色の街が、くっきりと眼前に広がっていた。アンニュイな雰囲気が漂う、私の大好きな句でです。(『増殖する俳句』HPより)(K.K.)