夏落葉たまさかなれば訝しむ 岡本眸

 

 

「たまさか」(偶さか)は、思いがけず、という意味。夏の落葉はそう頻繁に落ちるわけではない。風も穏やかな日の静かな少し開けた場所。だから、作者は落葉に不意を突かれたのだ。訝(いぶか)しんであたりを見わたしたら、少し離れたところに見上げるような大きな木が青々と。些細な出来事から、こんな格調高い詩が生まれました。(『朝』2000年8月号)(K.K.)