がさがさと暮らすのもよし茄子の花 飯島晴子

 

 

この句の中の「がさがさ」とは、どういう意味でしょう。私は最初、「気ぜわしく」位の意味で読んでみましが、それだとどうも「茄子の花」のイメージとつながらない。茄子の花は、花単体ではそこそこ綺麗なのだが、葉っぱが大きすぎるため、畑で咲く姿は上品さとは程遠く、俊敏さとも縁遠く、もっさりした印象をうけます。ということで、「がさがさ」は、気取らずとか、庶民的にとか、まあ、そのあたりに近い意味(セレブの反対)で作者は使っていると、私は推測するのです。簡単そうな句ですが、それでも飯島晴子は一筋縄ではいきません。(句集『儚々(ぼうぼう)』1996年)(K.K.)