夏館燈を吸う水の流れゐる 室積徂春

 

夜の水面に燈が映っている様を、「燈を吸う水」とは。光の滑らかな質感まで伝わってくる。この一言で、夏の夜の瀟洒な洋館のイメージが立ち上がる。ワンポイントで成立するのが俳句である。(『新版俳句歳時記』1973年版)(K.K.)