蛇穴を出てジーンズの丈に魂消る 西村葉子

 

 

「魂消る」はたまげる。冬眠している間に、ジーンズの丈の流行が変わってしまったのですね。流行といっても、足の甲に当たらない程度から裸足で床すれすれ程度までの変化です。そんなわずかな変化でも魂消るとは、ずいぶんとお洒落な蛇ですね。この蛇の正体は・・・と考えるのもよし、そのまま読んで蛇がジーンズをはいている姿を想像するもよし。蛇には足がないのに、ジーンズに着目した点、とてもウイットが効いた句です。 (『京鹿子』2002年5月号)(K・K)