凌霄の日向が暗し病みあがり 高橋さえ子

 

 

凌霄(のうぜん)はノウゼンカズラのこと。夏から秋に橙色の大輪の花を咲かせる。大変華やかで美しい花である。さて、私は例句を一読して衝撃を受けた。凌霄の花が咲いている日向は、誰がどう見ても眩しく輝いているはずである。それを「暗し」とは。それほどの痛手を受ける病とは、フィジカルな病だろうが、心の痛手も大きかったに違いない。(『朝』1999年12月号)(K.K.)