流し雛おく水勢を怖れつつ 水野節子

 

 

雛を置いたのは幼い子供でしょうか。大人なら平気なはずの水の流れが怖いのです。でも、置いたのは大人かもしれません。その場合、水勢を怖れたのは、水の物理的な速さだけではない、もっと根源的な畏れがあるように感じます。流し雛の風習の起源は、自分の身代わりだったのです。 (『雨月』1999年6月号)(K・K)