山吹の散るまであるや上り簗 原月舟

 

 

「上り簗」は川を上る魚を捉える仕掛けで春の季語。「山吹」との季重なりが気になる人もいるだろうが、この句の場合は「上り簗」が季語と考えて良いだろう。やや強引な例えだが、季語は俳句を絵画に例えれば背景のようなもの。ほとんどの場合、描きたい主体ではない。では、描きたい主体とは。掲句から立ち上がるのは川べりにある山吹のイメージ。もう咲いているのか、いやまだ蕾かもしれない。(『現代俳句歳時記』実業之日本社)(K.K.)