ハンカチに怺へし言葉畳みけり   江木紀子

 

大学の教授の元に、病死した教え子の母親が訪ねてくる。柔和で微笑みを絶やさない母親の気丈さに教授は敬服するのだが、ふと彼女の膝元に目を遣るとハンカチを握りしめた手が震えていた。芥川龍之介の短編「手巾」。ハンカチにはいろいろな物語がある。例句はどんな物語のシーンなのだろう。(『雨月』2003年10月号)(K.K.)