蕗のたう苦しや死後の父の恩 村田冨美子

 

 

 

この句を味わいながら、あらためて「苦い」と「苦しい」は同じ漢字だと気づいた。作者の父に対する思いは複雑だったのだろう。この苦さは後悔のほろ苦さかもしれない。生前の恩ではなく、死後の恩としたところが読みどころ。今、亡き父は作者の精神的な支えになっているのだろうか。 (『京鹿子』1999年1月号)(K・K)