わたくしに汚れちまったハンカチよ 林朋子

 

 

ウイットの句。確かに私のハンカチに付いた汚れはすべて「私」です。私の体にくっついていた汚れだから、私の体の一部といって良いでしょう。そして私以外の何者(何物)も付いていません。当たり前の事ですが、あらためて云われると面白い。もちろん、掲句はハンカチ=涙=悲しみの図式で中也の「汚れちまった悲しみに」をもじっており、座布団二枚といったところです。(『船団』2001年2月号)(K.K.)