ヨットのみぬけ出る朝の船溜り  貞弘衛

 

船溜りは波風を避けて船を停泊させる場所。詠まれた場所ではヨットも漁船も停まっている。ではぬけ出るのはなぜヨットなのか。この句の読みどころはずばり音。早朝の静けさの中、碇泊船の間をヨットが朝日を浴びながら滑ってゆく。エンジン音が聞こえては、この風景はうまれない。(『新版俳句歳時記』角川書店編)(K.K.)