見えてゐる人みなうごき水温む 八田木枯

 

 

 

この句を読んで、スーラーの「グランジャット島の日曜日の午後」が思い浮かんだ。川べりで思い思いの休日を過ごす人々を光溢れる点描の技法で描いた、あの有名な絵である。いま絵を見直してみると、動いている人だけではなく、佇んでいる人もいるのだが、やはり掲句の印象とどこか似ている。俳句という限られた言葉の中で、光や暖かい空気感を良くとらえた作品である。(句集『夜さり』2004年)(K・K)