こまごまと梅雨の鞄を出でしもの 森賀まり

 

鞄をたくさん持っている人でも、普段使いの鞄は一つと決めている人が多いのでは。そうしないと、鞄を替える度に中身を全部入れ替えなければならないから。そういう普段使いの鞄だが、買い替えか探し物で中身をだしてみると。憶えのないものも含めて、こまごまとしたものが、次々と鞄から出て来た。まるで記憶の断片のよう。「梅雨」が生きている。(『瞬く』2009年刊)(K.K.)