慟哭の背後夕焼溜まり出す 木山杏理

空一面の夕焼けも、日が暮れるとともに地平線に追いやられ、やがて消えてしまいます。その様子を「溜まる」と、比喩的に表現しています。もちろん、文法的には「溜まる」のは「夕焼け」ですが、作品の世界では、比喩は作品全体に影響を及ぼすことがあります。掲句において「溜まる」のは、「夕焼」だけではなく、慟哭している人の心の中に「何か」、あるいはそれを見ている作者や、読者の心の中にも「何か」が溜まり出すのです。(『京鹿子』2010年08月号)(北野和博)