やがて火となる刈芦のひとつかみ 近藤喜子

 

 

刈芦がひとつかみ分だけあって、それに火をつけるのだろうか。束の間の暖をとるために。あるいは、火をつける刈芦の山があって、その中から火種にするためのひとつかみ分を、手にしているのだろうか。冬ざれた風景の中で、炎のイメージが立ち上がる。(『ミネルヴァの梟』2012年東京四季出版)(K.K.)