父母の氷菓の棒が手にのこる 飯島晴子

お父さんとお母さんが仲良くアイスキャンディーを食べて、それぞれの手に棒が残ったまま、まだ話をしている。そんな仲睦まじく微笑ましい家族の光景・・・とは読めません。それなら私の棒も登場するはずです。さっきまで一緒に居たはずの父母がそこに居なくて、その氷菓の棒だけが作者の手に残っている。作品からはそんな不穏感、存在の不確かさを感じるのは、私だけでしょうか。(句集『蕨手』1972年刊)(北野和博)