引越しの荷が南天の花こぼす 加藤水虹

 

 

南天は白く小さな花を房状につける。きっと玄関脇に咲いていたのだろう。花房が飛び出しているから、触れればいかにもこぼれそう。季節外れの雪のように。ところでこの引越しは来る方だろうか、それとも出てゆく方だろうか。私は来る方だと読みたい。冬に実る赤い実を、家族で見られますように。(『新版俳句歳時記』雄山閣)(K.K.)