朝顔や百たび訪はば母死なむ 永田耕衣

朝顔は朝咲いて、昼には凋んでしまいます。毎朝咲いているようですが、それは全部別の花です。主人公はお母さん宅を朝に訪ねていたのでしょう。帰る時刻には今朝の朝顔は全部凋んている。そういう風景を繰り返し見て、掲句が思いうかんだのでしょう。中の句や下の句が目を惹きますが、この句は「朝顔」がいいんです。(『昭和俳句作品年表戦後篇』東京堂出版)(北野和博)