遅咲きのものあれこれと庭残暑 鷹羽狩行

言葉というものは、意味を伝えるだけではない。言葉の特性を熟知している詩人の手にかかれば、言葉は響き合ったり重なり合って、意味以上の物が伝わってくる。掲句では、「遅咲き」と「残暑」が響き合い、「あれこれ」が実に鮮やかに目に浮かんで来る。「あれこれ」だけで、映像が浮かぶって、凄いことだと思いませんか。(『狩』)2005年8月号(北野和博)