風船に詰めて子の息母の息 北野平八

 

 

風船は春の季語。春の日差しの公園であろうか。子供が風船を膨らませている。そばで優しく見守るお母さん。子供の力では少ししか膨らまない。お母さんが息を足して、風船が大きくなって。子供がそれを見て喜んで。そんな親子の絆が伝わってくる。シンプルで分かり易い句であるが、目の付け所は決して平凡では無い。シンプルであるからこそ伝わる情感があるのだ。(『北野平八句集』1987年富士見書房)(北野和博)