スケートに興じたる日々遥かにす 稲畑汀子

 

 

昔、淀川の河口近くに、ラサスポーツセンターというレジャー施設があった。確か阪神淀川駅からすぐの場所だった。中学生のころ、仲の良いクループでそこのスケート場で遊んだ。掲句を読んで、あの頃の高揚感を思い出した。もちろん、スケートも楽しかったが、仲の良い友人と過ごせるのが一番の喜びだった。肉体的にはもちろんだが、精神的にも、もうあの頃に戻ることはない。時間は多くの物を奪い去る。淡々と書かれているがこの句から、そういう時間の冷酷さも読み取って頂きたい。ちなみにラサスポーツセンターは、今は高層住宅です。(『ホトトギス』2012年1月号)(K.K)