よそめなる窓の別れや薫衣香(くのえこう) 富安風生

 

 

詩と俳句の大きなの違い。詩は視点人物=作者かつ真実を前提とするが、俳句の視点人物は作者とは限らないし、フィクションもOKである。これは短いが故に許される俳句の特性というべきか。掲句は道ならぬ恋の句だが、主人公=作者と読む必要がないので、安心して読める。というか、作者もフィクションとしてのドラマの一シーンを楽しんでいるのである。それにしても、実に良く出来た作品である。シンプルでありなら、上品なエロチシズムが漂っている。薫衣香は身につけるお香。(『現代俳句歳時記』実業之日本社)(K.K.)