末黒野に学園建つといふ噂 井上雅晴

 

 

末黒(すぐろ)とは野焼きで焦げた枯草の様。春の新芽のために野を焼いているのだから、寝耳に水の噂だったろう。はて、野焼きはカモフラージュだったのか、それとも噂の方がガセネタだったのか。春からなんだか騒々しい。「末黒野」という情緒的季語を冠に置きながら、情感とは程遠い下世話な話を続ける。作句初心者にはお勧めできないが、季語を反作用として利用する手法の成功例といえよう。 (『帆船』2005年5月号)(K・K)