ひぐらしのいつしか風となりにけり 三浦晴子

 

 

蜩は朝と夕方に鳴くが、この句の場合は夕方であろう。夕凪ぎの暑さの中、蜩が鳴いている。やがて気が付くと蝉の声は止んでいて、涼しい風が吹きはじめた。あたりはもう夕闇に覆われている。(『濱』2007年10月号)(K.K.)