父死後は開かずの書庫や秋の声 能村研三

 

 

開かずの間にしようと決めた訳では無い。書庫は故人の心の残像のような場所であり、なかなか片付けしがたい。いつしか開かずの間になってしまったのだろう。秋の声とは声に限らず葉擦れの音や虫の音等、秋の気配を含んだ物音のこと。作者は秋の声を聴きながら、ふと書庫にいた父の姿を思い出したのだろう。(『沖』2002年10月号)(K.K.)