星月夜時差刻々と生まれつつ 原田伸夫

主人公は今、飛行機の窓から星空をみているのだろうか。それを時差で表現した着想が面白い。ちなみに「星月夜」は美しい秋の季語であるが、実際の秋の空は空気は澄んでいるものの、一等星が少なくむしろ暗く感じる。「星月夜」のイメージ、星が月の様に光り耀く夜空というのは、季語の世界観の中だけに存在するのだ。(『雲の峰』2004年1月号)(北野和博)