草の影石に鋭く入学す 飯島晴子

 

 

入学(式)はのどかでおめでたい式典、という先入観で作られた句ではない。おそらく切れ字は下五字の前であろう。強い日差しが石に鋭い草の影を落としている。およそ入学の概念とはかけ離れている。しかもイメージの残像効果で、入学(式)にまで「鋭く」が掛かっているような誤読に導かれる。しかし、掲句には特別な手法が使われているわけではない。写生句として成立しながら、異質のイメージが見えてくるのだ。(句集『八頭』永田書房1985年)(K.K.)