行人のうしろうしろと花の冷 笠松久子

 

 

「行人」は修行僧。冷気が行人を追いかけているとも、行人が冷気を作りながら歩んでいるようにも読めるが、ここは「うしろうしろ」というシンタックスの、急き立てるような語感に注意して解釈したい。厳しい修行に向かう行人に対するシンパシーが感じられる。(『日本大歳時記』講談社 1983年)(K.K.)