水温む母の漬菜の飴いろに 石本百合子

 

 

真冬に比べ漬物を洗う水がほんのり暖かくなりました。生活の中で季節の変わり目を実感するのは、そんな時でしょう。長い冬を耐えてきたのは人間だけではありません。お漬物の菜っ葉も寒さに耐えて、なんともおいしそうな色合いに仕上がっているではありませんか。私が漬けたのではなく、母としたところが読みどころです。そこから想いが拡がります。(『馬醉木』1999年5月号)(K・K)mizu