銅版画に指紋残して冬に去りき 寺山修司

 

 

掲句の銅版画は、紙の作品ではなく銅の原板(主版)の事だろう。カリカリと銅を削り、指紋を証のように残して、友は去って行った。いかにも冬にふさわしい物語である。リアリティーは無いが、若さ、未熟さを内包した寺山ワールドの魅力。 (『寺山修司コレクション』思潮社)(K.K)