七夕の美しく席外さるる 中原幸子

 

 

切れ字の場所に注意。「七夕の」の後で切れるなら、席を外す女性の所作が美しい、という意味になるが、季語の「七夕」が取って付けたようになってしまうので、「美しく七夕の席外さるる」とすべきである。はて、暫く考えて「美しく」の後に切れ字がくると気が付いた。七夕の星空があまりに美しいので、席を外されたのだ。主語がないゆえの誤読の楽しさと正解に辿りつく喜び。俳句の特権である。(『船団』2001年2月号)(K.K.)