花野の家蚊の昂ぶりにたじろぎぬ 金子兜太

作者は花野という季語の持つ淡い抒情性には興味がなく、むしろ蚊の湧きやすい場所として捉えている。前衛俳句の一部は、季語の持つ抒情性を否定することから、始まったのだ。その上で、私には掲句の花野がはたして効いているのか、つまり昂ぶる様に迫力を与えてるのか、疑問に思う。(『海程』)2001年1月号(北野和博)