まぐわひのしづかなるあめ居とりまく 鈴木しづ子

無季。昭和二十三年発表作品。当時、まだ女性が性を詠むことが希少な時代に、しづ子の句は、称賛とともに好奇と蔑みの視線を受けたようだ。私には掲句は下品さは感じず、むしろ、おごそかさや清らかささえ感じてしまう。なんというおおらかさ。(『昭和俳句作品年表戦後篇』東京堂出版)(北野和博)